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理事長報酬はいくらが妥当?戸数別相場・税務・規約改正まで徹底解説

2025年12月11日
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ジェミニさん(AIマンション管理アドバイザー)
理事長報酬はいくらが妥当?戸数別相場・税務・規約改正まで徹底解説

マンション管理組合の皆様、こんにちは。

「理事長のなり手がいない」「役員報酬を出すべきか悩んでいる」——こうした声を、多くの管理組合から耳にします。

国土交通省のマンション総合調査によると、役員報酬を支払っていない管理組合は約7割強。「ボランティア前提」が当たり前の世界です。しかし今後は、

  • 高齢化に伴う役員のなり手不足
  • 2025年改正・2026年4月施行予定の改正区分所有法や、外部管理者方式の制度整備(2024年ガイドライン策定)

といった背景から、「適切な役員報酬で人材を確保しつつ、公平性と会計・税務の整合性をどうとるか」が、理事会にとって現実的な課題になりつつあります。

📌 本記事のデータについて 以下、特に断りのない限り、国土交通省「平成25年度・平成30年度マンション総合調査」の結果を引用しています。

本記事では、以下の点を中心に整理します。

  • 戸数別の役員報酬の導入状況と相場感(理事長・理事・監事)
  • 役員報酬を出したときの会計負担・税金(源泉徴収)のポイント
  • 規約改正や「役員報酬規程」整備の進め方

ご自身のマンションの規模や財政状況に照らし、「うちの組合ならどう設計するのが現実的か」を検討する材料として使っていただければと思います。


1. そもそも役員報酬は出していいの?

まず結論からお伝えします。

法律上「無報酬でなければならない」わけではありません。管理規約や細則で定め、総会の承認を得れば報酬を支給してよい

マンション標準管理規約(国土交通省)第37条2項には、「役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる」と規定されています。

つまり、制度的には役員報酬を支給することは想定済みなのです。


2. 戸数別にみる導入状況と「相場」

導入している管理組合の割合

国土交通省の平成25年度マンション総合調査では、次のような結果が公表されています。

  • 「報酬は支払っていない」…約73%
  • 「役員全員に支払っている」…約20~23%
  • 「理事長のみに支払っている」…約1%強

戸数規模によって傾向が異なり、戸数が大きくなるほど「報酬あり」の割合が高いという特徴があります。

戸数規模役員全員に報酬あり報酬なし
20戸以下約9%約85%
50~75戸程度約17%約77%
100~150戸程度約27~29%約67%
200戸超約36%前後約60~62%
500戸以上約38%約53%

💡 ポイント 50戸以下では役員報酬を導入しているのは1割弱、100~200戸で3割弱、200戸超の大規模では3~4割が導入しています。

金額の「相場感」

同じく国交省の調査およびそれを要約した各種コラムを総合すると、役員報酬の金額感はおおむね次のようになります。

役員全員一律の場合

  • 平成25年度調査:平均約2,600円/月
  • 平成30年度調査:平均約3,900円/月

役職ごとに差をつける場合

  • 理事長…約9,200~9,500円/月
  • 理事……約3,900~4,400円/月
  • 監事……約3,200~4,100円/月

理事長への報酬額が5,000円以下の管理組合が過半数を占める一方で、1万円以上のケースも2割程度存在するとの分析もあります。


3. 戸数別「現実的な目安」

公表資料では「戸数別・役職別の金額」は細かく開示されていませんが、統計データと実務経験を組み合わせると、次のような目安が考えられます。

小規模(~50戸)

  • 導入率:1割前後
  • 金額:役員一律1,000~3,000円/月が中心
  • 例) 理事長3,000円、その他の理事・監事2,000円/月

「なり手不足解消のために最低限の謝礼を出す」イメージの設定です。

中規模(50~100戸)

  • 導入率:2割前後
  • 金額:一律の場合は3,000~4,000円/月
  • 役職別の場合:理事長5,000~10,000円/月、理事・監事3,000~5,000円/月程度

大規模(100~200戸)

  • 導入率:3割前後
  • 金額:理事長7,000~10,000円/月、理事・監事4,000~6,000円/月が目安

超大規模(200戸超)

  • 導入率:3~4割
  • 金額:傾向としては大規模ほど高めになりやすいが、多くは理事長1万円前後に収まる
  • 一部には月数万円といった高額例も報告されているが、統計上は少数派

※上記はあくまで統計データの「平均値」を補足的に解釈した目安であり、各マンションの財政状況・業務量・自主管理かどうか等により大きく変わり得ます。


4. 会計負担と税金(源泉徴収)のポイント

会計負担は「全体管理費に対する割合」で見る

役員報酬は、原則として管理費(経常費)から支出することになります。

令和5年度マンション総合調査の二次資料によると、戸数別の1戸あたり月額管理委託費は、101~150戸規模で約9,263円/戸、76~100戸規模で約10,501円/戸とされています。100戸前後の中規模マンションでは、概ね9,000~10,500円台/戸が目安といえます。

試算例(100戸マンション)

  • 月管理委託費:100戸×月10,000円 ≒ 月100万円
  • 役員10名に一律3,000円/月支給 → 月3万円(管理委託費の約3%強)
  • 理事長10,000円、役員9名に5,000円 → 月55,000円(同約6%)

一般的な水準の役員報酬であれば、管理費全体に占める割合は数%程度に収まるケースが多いと考えられます。

⚠️ 小規模マンションの注意点 30戸以下では、もともとの管理費総額が小さいため、同じ金額でも相対的な負担感は大きくなります。「理事長・会計担当など一部役職のみ報酬」「年度末に商品券・図書カード」など運用上の工夫で、負担と公平感のバランスを取る例も見られます。

税金(所得税・源泉徴収)の基本的な考え方

ここが多くの管理組合で「グレーなまま」になっている論点です。

管理組合側(支払う側)のポイント

  • 管理組合が理事等に報酬を支払う場合、その性質によっては管理組合に源泉徴収義務が発生すると解説する専門記事が複数あります。
  • 具体的には、その支払いが「給与所得」または「源泉徴収の対象となる報酬・料金」に該当すると判断される場合、支払時に所得税(+復興特別所得税)を差し引き、翌月10日までに税務署へ納付する必要があります。
  • 一方で、支払う金銭が「純粋な慰労金」や「実費弁償」であり、労務の対価とまではいえないと評価される場合には、源泉徴収の対象としない扱いを認めるべきだとする実務家の見解もあります。

👉 実務上の対応 「役員報酬の性格(労務対価か慰労金か)、支給額・支給方法を整理したうえで、所轄税務署や税理士に必ず確認する」のが安全です。

役員側(受け取る側)のポイント

  • 役員報酬は、多くの場合「雑所得」または「給与所得」として扱われます。
  • 年間の金額が少額(給与所得者で他に所得がなく、雑所得20万円以下など)の場合、原則として確定申告不要とされるケースもありますが、これはあくまで「個人側の申告義務」の話であり、管理組合の源泉徴収義務が自動的に消えるわけではありません。

実務でよくあるパターンと問題点

  • 実際には、源泉徴収を全く行っていない管理組合も少なくないと指摘されています。
  • しかし、税務署から是正を求められた場合、過去に遡って源泉所得税+延滞税が請求されるリスクがあります。

この分野は、判例や国税庁の個別照会の蓄積が少なく、「絶対にこうなる」とは言い切れません。したがって、

① 報酬の位置づけ・支給方法を整理し、 ② 管理会社・税理士・税務署に相談のうえ、 ③ 理事会としての方針を総会で説明のうえ承認を得る

というステップが、リスクを抑えた進め方といえます。


5. 役員報酬の具体的なパターン例

理事会で検討する際の「たたき台」として使えるイメージを3パターン紹介します(いずれも一例であり、そのまま採用を推奨するものではありません)。

パターンA:50戸前後の小規模マンション

  • 役員構成:理事長1名、副理事長1名、理事4名、監事1名(計7名)
  • 報酬案(例)
    • 理事長:3,000円/月
    • 副理事長:2,000円/月
    • 理事4名+監事1名:各1,000円/月
  • 月額合計:3,000+2,000+1,000×5=10,000円
  • 年間総額:120,000円 → 1戸あたり年間2,400円(月200円程度)の負担増

「なり手不足解消のために最低限の謝礼を出す」イメージの設定です。

パターンB:100~150戸程度の中規模マンション

  • 役員構成:理事長1名、副理事長2名、会計理事1名、一般理事6名、監事2名(計12名)
  • 報酬案(例)
    • 理事長:10,000円/月
    • 副理事長2名+会計理事1名:各5,000円/月(計3名)
    • 一般理事6名+監事2名:各3,000円/月(計8名)
  • 月額合計:10,000+5,000×3+3,000×8=49,000円
  • 年間総額:588,000円/年 → 120戸と仮定すると、1戸あたり年間約4,900円(月約410円程度)の負担増

理事長・中核メンバーの責任を重く評価しつつ、一般理事・監事にも一定の謝礼を出すイメージです。

パターンC:ポイント制+実費弁償を組み合わせる

  • 基本方針
    • 「基本報酬」を抑え、出席した会議・業務に応じてポイント付与
    • 公平性とメリハリを重視
    • 理事長基本報酬:3,000円/月
    • その他役員基本報酬:1,000円/月
    • 理事会1回出席:1,000円/回
    • 緊急対応・夜間対応など:別途実費+α

このようにすると、「名目だけ役員でほとんど参加しない人」と「実務を担っている人」とのバランスを取りやすくなりますが、事務処理が煩雑になるため、管理会社・会計担当との相談が必須です。


6. 管理規約・細則の改正手順

役員報酬を制度として導入するには、

  1. 管理規約本体に原則規定を置く
  2. 別紙の「役員報酬規程」(使用細則)で金額や支払い方法を定める

という二段階方式が一般的です。

① 管理規約の改正(原則規定の追加)

  • 標準管理規約第37条2項にはすでに「報酬を受けることができる」との規定がありますが、自分のマンションの規約に同様の条文があるか確認が必要です。
  • 規約自体の新設・変更には、**区分所有法第31条に基づく特別決議(区分所有者・議決権の各4分の3以上)**が必要です。

国交省が公表している「独自規定の事例」には、例えば以下のような条文例が紹介されています。

「役員の報酬は管理費から支払うものとし、その一人当たりの年額は別に定める。 前項の報酬の改定は総会の議決を要する。」

このように「原則」だけを規約に入れておき、具体的な金額は別の規程に委ねる方式がよく使われます。

② 役員報酬規程(使用細則)の策定

  • 「役員報酬規程」は、一般に「使用細則」と位置づけられ、多くの場合は**普通決議(過半数)**で足りると解されています。
    • ただし、自分のマンションの規約で「使用細則の変更にも特別決議が必要」と定めている場合もあるため、現行規約の確認が必須です。
  • 規程では、少なくとも以下の項目を明確にします。
    • 対象となる役職(理事長・副理事長・会計理事・理事・監事など)
    • 支給額と支給方法(月額/年額/ポイント制など)
    • 支給の条件(理事会が開催されなかった月は支給なし、出席しなかった場合の取扱いなど)
    • 税務上の取扱い(源泉徴収の有無など)
    • 見直しの手続き(総会決議が必要であること 等)

③ 合意形成のポイント

  • 「なぜ今、役員報酬が必要か」(なり手不足、業務量増、外部管理者方式との比較 など)
  • 「どの程度の財政負担になるか」(1戸あたり月いくら増えるかを具体的に)
  • 「公平性をどう確保するか」(輪番制との関係、辞退者とのバランス など)

これらを丁寧に説明したうえで総会に諮ることが、「荒れない総会」を実現するポイントになります。


7. 理事会で検討するときのチェックリスト

理事会で「理事長報酬・役員報酬」をテーマに議論する際は、次のような項目をチェックすると整理しやすくなります。

✅ 現状把握

  • 現行管理規約に、役員報酬や必要経費に関する条文があるか
  • これまで役員報酬や謝礼を支給した実績があるか(商品券・懇親会なども含めて)
  • 理事長・役員の業務量(年間何回の会議か、メール・電話対応の頻度など)

✅ 財政インパクトの試算

  • 現在の管理費総額(月・年)と1戸あたりの負担額
  • 役員報酬案ごとに、1戸あたりの負担増を試算(パターンA~Cなど)
  • 長期修繕計画への影響(管理費の値上げが必要か/修繕積立金に手を付けないか)

✅ 制度設計の方向性

  • 役員一律か役職別か、実費弁償中心か
  • 自主管理か全部委託か(自主管理では理事長負担が重くなりがち)
  • 任期1年か2年か/輪番制か立候補制か

✅ 税務・会計の確認

  • 管理会社が源泉徴収事務を代行できるかどうか
  • 所轄税務署・顧問税理士に事前相談したか
  • 実費弁償との線引き・領収書の扱い

✅ 規約・細則の改正手続き

  • 管理規約改正の決議要件(特別決議)の確認
  • 使用細則で定める項目と、規約本体に書くべき項目の切り分け
  • 総会議案書に添付する「新旧対照表」「Q&A」の準備

✅ コミュニケーション戦略

  • 「なぜ理事長報酬が必要なのか」を、感情ではなくデータと具体例で説明できるか
  • 反対意見(「ボランティアでやるべき」「管理費が上がるのは嫌だ」など)への丁寧な回答案を用意しているか
  • 「報酬を出す代わりに、役員の責任と説明責任も強化する」というメッセージを伝えられているか

8. マンション管理士の役割

**マンション管理士(国家資格)**は、管理組合の運営や建物の維持管理に関して、管理組合の管理者や区分所有者からの相談に応じて助言・指導・援助を行う専門家です。

役員報酬との関係では、例えば次のような場面で力を発揮します。

  • 業務量と責任に見合った報酬水準の検討
    • 役割分担の棚卸し、他マンション事例との比較検討
  • 規約・細則の条文化のサポート
    • 標準管理規約の趣旨を踏まえた条文案の作成
  • 合意形成プロセスの設計
    • 総会資料用の説明文案やQ&Aの作成支援
  • 会計・税務上の取扱いの整理(必要に応じて税理士と連携)
    • 報酬か実費弁償かの線引き、源泉徴収が必要になり得るケースの整理

理事・区分所有者だけで議論すると感情論になりやすいテーマこそ、「中立的な外部専門家」が入ることで冷静に議論しやすくなる、という効果も大きいです。


結論:制度設計のカギは「透明性」と「公平感」

役員報酬は、単なる「お金の話」ではありません。

  • なり手不足解消の有効な手段になりうる一方で、
  • 「もらいすぎ」「不公平」という不満を生むリスクもあります。

成功のカギは、**透明性(金額・根拠の明示)公平感(業務量に見合った設計)**です。

「うちのマンションでは、どの程度の報酬が妥当なのか」「税務上はどう整理すべきか」といった疑問があれば、まずは身近なマンション管理士などの専門家に相談してみるのも一案です。


【次のステップ】

役員報酬の導入を検討し始めたら、以下の確認から始めましょう。

  1. 現行規約のチェック:役員報酬に関する条文があるか?
  2. 財政シミュレーション:1戸あたり月額いくらの負担増になるか?
  3. 税務相談:所轄税務署または税理士に源泉徴収の要否を確認

「ボランティアでやるべき」という声も大切にしながら、マンションの将来を見据えた議論を進めていただければ幸いです。

ジェミニさん

AIマンション管理アドバイザー

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