管理組合運営

長期修繕計画の見直し費用を、市が一部出してくれることがある──自分のまちの支援を理事会で探す手順

長期修繕計画の見直しには、自治体の補助や専門家の派遣を使える場合があります。支援を四つの種類に分けて、自分のまちの支援ページの探し方と、大阪市の制度を例にした相談・申請・契約の順番、理事会がいま確かめることを整理しました。

2026年9月16日
約10分
コネルコネル(管理組合の相談コンシェルジュ)
長期修繕計画の見直し費用を、市が一部出してくれることがある──自分のまちの支援を理事会で探す手順
目次
  1. マンションの管理組合が使える、自治体の支援とは
  2. そもそも、うちのまちにはどんな支援がありますか
  3. では、いま何をすればよいのか
  4. よくある質問
  5. まとめ
  6. 出典

マンション管理士コネクトの相談コンシェルジュ、フクロウのコネルです。手元の長期修繕計画が何年も前のままになっている。見直しを頼みたいけれど費用がかかる。理事になったばかりで、何から手をつければよいか分からない。そんな話をよく聞きます。こうしたときに、市区町村の支援を使えることがあります。ただ、制度の名前や案内しているページは自治体によって違うので、探し方から押さえておくと役に立ちます。

この記事で持ち帰ってほしいことは三つです。

  • 自治体の支援は「お金が出る」「専門家が来る」「窓口で聞ける」「市に登録・届け出る」の四つに分けると探しやすいこと
  • 支援の中身は自治体ごとに違うので、市区町村のマンション支援のページで自分のまちの制度を確かめること
  • 補助によっては契約の前に相談や申請を求められるので、見積りの段階で自治体に手順を確かめること

まず支援の種類を一枚の表で押さえ、次に自分のまちの支援の探し方、最後にいま理事会がやることを順番に並べます。

マンションの管理組合が使える、自治体の支援とは

自治体の支援は、お金が出るもの、専門家が来るもの、窓口で聞けるもの、市に登録・届け出るもの、の四つに分けると全体をつかみやすくなります。これは一つの公式な分類ではなく、探しやすくするための並べ方です。「ひとことで言うと」の列は、私コネルの補足です。

支援の種類中身ひとことで言うとこの記事で確認した例
補助・助成長期修繕計画の作成・見直しなど、決められた用途の費用の一部を自治体が出すお金が出る大阪市、横浜市
専門家の派遣マンション管理士や一級建築士などの専門家に来てもらい、相談できる専門家が来る吹田市、横浜市
相談窓口管理組合の運営や建物の維持管理について、自治体の窓口で相談できる窓口で聞ける吹田市、大分市
登録・届出マンションの名前や管理の状況、連絡先などを自治体に登録する、または届け出る市が状況をつかみ、情報や支援の入口になる大分市、吹田市、横浜市

補助・助成は、計画の見直しなどを専門家に頼むときに、その費用の一部を自治体が出す仕組みです。対象になる費用や条件が細かく決まっているので、後の章で大阪市の例を見ます。

専門家の派遣は、マンション管理士や一級建築士に来てもらって相談する仕組みです。吹田市の場合、運営や規約、管理費と修繕積立金、管理委託契約、長期修繕計画、大規模修繕の計画、改修や耐震、建替えまで、相談できる内容が幅広く示されています。

登録・届出は、マンションの名前や、理事長など管理組合を代表する人の連絡先などを自治体に伝えておく仕組みです。市が地域のマンションの状況をつかむ手がかりになり、登録した管理組合に情報を届ける自治体もあります。

自治体のほかに、公益財団法人マンション管理センターも、管理組合の運営や建物・設備の維持管理の相談を電話・面談・メールで受け付けています。専門家レベルの法律・税務の相談や、個別の修繕についての助言は対象外とされています。

そもそも、うちのまちにはどんな支援がありますか

市区町村のホームページにある「分譲マンション」や「マンション管理」のページに、支援がまとめて載っていることが多いので、まずそこを開くのが近道です。

ページが見つけにくいときは、「マンション管理適正化推進計画」や「管理計画認定」という言葉で探すと手がかりになります。推進計画は、自治体が地域のマンション管理をどう支えるかをまとめた計画です。管理計画認定は、管理組合の運営や長期修繕計画などが一定の基準を満たしているかを自治体が認定する制度で、推進計画を作った自治体が行えることになっています。認定を案内している担当課が、相談や派遣、補助も一緒に案内していることがあります。

案内の仕方は自治体ごとに工夫があります。横浜市は、「長期修繕計画がない・長年更新していない、管理規約を更新していない」「理事になったが何をすればよいかわからない」といった困りごとごとに、使える制度を並べた一覧を公開しています。長期修繕計画の困りごとには、作成費用の一部を補助するモデル事業が案内されています。これとは別に、マンション管理士や建築士などの専門家に来てもらって維持管理の相談ができる、マンション・アドバイザー派遣も載っています。吹田市の分譲マンション支援のページには、推進計画、条例、管理状況の届出、管理計画認定、管理相談、アドバイザー派遣、セミナー、管理組合のネットワーク、支援法人の案内が並んでいて、市の取組を一度に見渡せます。

市のページで見当たらないときは、都道府県のマンション関係のページも見ておくと、相談窓口などが載っていることがあります。

もう一つ、改正法でできた「マンション管理適正化支援法人」という仕組みもあります。都道府県知事などが、基準に合う一般社団法人などを申請に基づいて登録するもので、登録された法人は管理組合への情報提供などの援助を行います。どこまで活用するかは自治体によって違い、吹田市は市の活用方針が決まるまで登録を行わないとしています。

ホームページを探すのと並行して、管理会社のフロント担当に「この市で管理組合が使える支援はありますか」と聞いてみるのも一つの方法です。

では、いま何をすればよいのか

最初にやることは、手元の長期修繕計画がいつ作られたものか、積立金がどうなっているかを確かめることです。そのうえで、自分のまちの制度の条件に照らし、使うと決めたら、その制度が定める手続きの順番を確かめてから動きます。

手元の計画と積立金を確かめる

計画書の表紙や作成日の欄で、作成または見直しの年を確かめます。あわせて、いまの長期修繕計画書一式と、修繕積立金の状況が分かる資料(総会資料や収支報告など)をそろえます。長期修繕計画の簡易シミュレーションに手元の数字を入れると、将来の収支を大まかにつかむ参考になります。ただし、補助の対象になるかどうかは、各自治体が決めた判定のしかたで別に確かめます。

補助の条件に照らす

補助の条件は自治体ごとに細かく決まっています。ここでは大阪市の「分譲マンション長期修繕計画作成費助成制度」を例に、どんな点を確かめるのかを見ます。表の「区分所有者等」は、住戸などを持っている人のことです。

確かめること大阪市の例
区分所有者などの人数市内の分譲マンションで、区分所有者等が10人以上
住宅の割合専有面積の2分の1以上が住宅
築年数建築後5年以上
計画と積立金の状況長期修繕計画がない、または、いまの計画に基づく修繕積立金が、市の判定式で基準額より低いと判定される
総会の決議国の標準様式などに沿った計画の作成・見直しについて、区分所有法の普通決議を得ている。これとは別に、補助の申請についても総会で決めている
補助の額税抜きの対象経費の3分の1と30万円のうち、低いほうの額(千円未満は切り捨て)
回数一つのマンションにつき1回まで

判定式は、いまの長期修繕計画に基づく修繕積立金を、専有面積1㎡あたりの月額で見て、市の示す基準額より低いかどうかを確かめるものです。毎月の請求額をそのまま当てはめるものではなく、計算のしかたは市の資料に示されています。計画書を持って事前相談に行くと、当てはまるかどうかを確かめやすくなります。補助の対象になる経費は、建物の現状の調査・診断と、計画の作成または見直しです。表の「普通決議」は、特に多くの賛成を求められる事項以外について行う、通常の総会の決議のことです。総会が成り立つ条件や賛成の数え方は、自分たちの管理規約で確かめます。

手続きの順番を確かめてから契約する

大阪市の申請の手引きでは、事前相談、交付申請、交付決定、契約と着手、という順番で進みます。事前相談には、建物の概要が分かる資料(竣工図や分譲時のパンフレットなど)、管理規約、いまの長期修繕計画の概要と修繕積立金の額が分かるものを持っていくよう案内されています。申請は専門家などと委託契約を結ぶ予定の日の30日前までに出し、契約は交付決定の通知から30日以内に結びます。交付決定の前に契約を結ぶと補助金は出ません。完了後の実績報告は申請した年度の2月末日までで、補助は予算の範囲内です。

総会・理事会・理事長の役割を分けておく

国の標準管理規約では、長期修繕計画の作成や変更は総会で決める事項とされています。実際の扱いは、自分たちの管理規約で確かめます。理事会は見直しの内容を検討し、議案と、見積りや自治体の案内などの資料をそろえます。総会で決まった後の申請や契約は、管理規約と総会の決議に沿って進めます。

大阪市の補助では、国の標準様式などに沿った長期修繕計画を作成・見直しすることについて、区分所有法の普通決議が必要です。これとは別に、補助を申請することについても総会で決め、その議事録の写しを申請のときに出します。申請は理事長の名前、または管理組合法人の名前で行います。吹田市のアドバイザー派遣は、総会または理事会の決議と、申請前の相談が必要です。

派遣や相談の条件も確かめる

派遣や相談には、補助の申請より準備が少なく済むものもあります。ただし、申込みの方法や決議が要るかは制度ごとに違います。吹田市のアドバイザー派遣では、マンション管理士または一級建築士が無料で相談に応じ、同じ年度に2回まで、1回2時間以内で使えます。派遣そのものは無料ですが、会場費や資料代がかかった場合は管理組合の負担です。

登録や届出の形を確かめておく

大分市は、令和8年10月1日から、市内の分譲マンションを対象にした登録制度を始めます。登録を希望する管理組合等が届け出る形で、管理組合の理事長などのほか、管理会社などが届け出ることもできます。登録した管理組合等には、市からマンション管理に役立つ情報が提供されます。市はマンション管理士による無料相談も行っていて、制度開始後に管理士の派遣を受けるには、この登録が必要とされています。登録したマンションの名前と所在地は、市のホームページなどで公表されます。内容が変わったときは変更の届出をします。

一方、吹田市は条例で、分譲マンションの管理者等(理事長など管理組合を代表する人のことで、管理員とは別)に管理状況の届出を義務づけています。届け出るのはマンションの名前、管理者等の連絡先、管理の形態、最新の管理規約や管理委託契約書に関する情報などです。マンションの名前、管理者等の氏名・連絡先、管理の形態が変わったときは30日以内に変更を届け出ます。届出は5年ごとに更新します。

自分のまちが、希望して届け出る登録なのか、義務の届出なのか、それとも制度がないのかを確かめておくと、使える制度の見落としや、必要な届出の出し忘れを防げます。

迷ったときの相談先

条件の読み方に迷うときや、自治体の支援だけでは足りないときは、マンション管理士に相談する方法もあります。専門家を探すでは、地域や得意分野からマンション管理士を探せます。見直しの進め方や議案の組み立てを、専門家と一緒に整理できます。

よくある質問

管理会社に計画の見直しを頼む場合も、補助の対象になりますか

自治体の条件によって違います。大阪市の制度は、専門家などとの委託契約の前に申請する手続きになっています。誰に頼む場合に対象になるかは、手引きを読むだけでは判断しにくいので、管理会社への依頼を考えているときも、契約の話を進める前に市の担当窓口に相談して確かめておくと、後から使えなかったという事態を避けられます。

うちの市には、制度が見当たりません

市区町村のページで見つからなくても、都道府県のページに相談窓口などが載っていることがあります。マンション管理センターの相談窓口に電話やメールで聞く方法もあり、地域のマンション管理士の団体が相談会を開いていることもあります。

登録や届出をすると、管理組合の負担が増えますか

最初の提出だけでなく、内容が変わったときの届出や、定期的な更新が必要な場合があります。吹田市の届出は条例に基づく義務で、マンションの名前、管理者等の氏名・連絡先、管理の形態が変わったときは30日以内に変更を届け出て、届出は5年ごとに更新します。令和8年10月1日から始まる大分市の登録制度では、登録内容が変わったときに変更の届出をし、登録したマンションの名前と所在地が公表されます。何を出すか、どこまで公表されるかを、自分のまちの案内で確かめておくと安心です。

まとめ

  • 自治体の支援は、お金が出る、専門家が来る、窓口で聞ける、市に登録・届け出る、の四つに分けて探すこと
  • 中身は自治体ごとに違うので、市区町村のマンション支援のページで自分のまちの制度を確かめること
  • 補助を使うなら、契約や着手の前に、自治体の案内で相談・申請・交付決定の順番を確かめること

計画書と積立金の状況を手元で確認し、自分のまちの案内ページを一度開いてみる。そこから、見直しにしっかり取り組む準備が始まります。

出典

制度・条件の確認日:2026-09-16

管理規約の見直し

この記事の内容を、自分のマンションの規約に落とし込むには

記事で扱ったルールは、管理規約に書かれていて初めて総会で使えます。改正区分所有法(2026年4月1日施行)に合わせて、現行規約のどこを直すかを洗い出すところから始めます。

管理組合の理事の方へ

現行規約と改正法のずれを管理士が洗い出し、総会に出せる改正案まで伴走します。「うちのマンションではどこが変わるのか」から相談できます。

規約の見直しを相談する
管理会社・マンション管理士の方へ

管理規約スタジオは、現行規約を取り込むと標準管理規約・改正法との差分を条文単位で洗い出し、新旧対照表と改正案を出力する実務者向けツールです(運営会社のサービス)。

管理規約スタジオを見る
コネル

コネル

管理組合の相談コンシェルジュ

管理組合を中心に、情報・ツール・専門家をつなぐ、管理コネクトの案内役です。 制度や実務をかみくだいて整理し、判断はみなさまと専門家に委ねます。 口ぐせは「いっしょに、よい答えを見つけよう」。

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