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【2026年12月募集分から対象拡大予定】管理組合も「個人向け国債プラス」の対象に──購入前に理事会が進める5つの準備

財務省は2026年12月募集分(2027年1月発行分)から、個人向け国債の販売対象を管理組合など一定の法人・団体へ広げ、名称を「個人向け国債プラス」に変える予定です。対象範囲については、法人格のないマンション管理組合も含まれることが2026年8月5日公表の意見募集結果で明示されました。不確定なのは主に販売開始時期と各金融機関の対応です。規約の確認から総会決議、金融機関の受入条件の照会まで、購入前に理事会が進めておける5つの準備を整理します。

2026年9月8日
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コネルコネル(管理組合の相談コンシェルジュ)
【2026年12月募集分から対象拡大予定】管理組合も「個人向け国債プラス」の対象に──購入前に理事会が進める5つの準備

先に結論を書きます。財務省は令和8年(2026年)12月募集分(令和9年1月発行分)から、個人向け国債の名称を「個人向け国債プラス」に変え、管理組合など一定の法人・団体へ販売対象を広げる予定です。対象範囲は、2026年8月5日公表の意見募集の結果で、法人格のないマンション管理組合も含まれると明示されました。不確定なのは主に販売開始の時期と、各金融機関の取扱いです。

理事会側の準備は、①規約と過去の総会決議の確認、②運用方針案の作成、③金融機関の受入条件の確認、④総会決議、⑤会計・監査・引継ぎの設計、の5つです。毎月募集がある商品なので初回にこだわる理由はありませんが、①と③は募集が始まる前から動かせます。

いつから・誰が買えるのか

「個人向け国債プラス」という名称は、個人向けの販売が続くことと、法人等が加わることの両方を表しています。ただし財務省のQ&Aには、金融機関によってはシステム対応等の事情で法人等への販売が遅くなる可能性がある旨も書かれています。「12月からどこでも買える」という前提は置かないほうがよさそうです。

購入のために管理組合法人になることは制度上の要件ではありません。ただし法人格のない団体を扱うかは金融機関ごとに異なり、金融機関が体制整備や経営方針を理由に販売対象を限定することも認められています。制度上の対象であることと、照会先の金融機関が取扱いを受け付けることは、別の確認事項です。

制度上の購入限度額は設けられていないとされています。ただし受付の可否・必要書類・口座管理手数料・独自の取扱制限は各社の判断です。

譲渡と担保の制限

Q&Aによれば、管理組合など法人等が購入した個人向け国債プラスは、他の法人等にも個人にも譲渡できません。満期前に別の組合へ売る、他の法人へ移すことはできない前提です。逆も同じで、個人が保有する分を管理組合へ譲渡することもできないため、理事長個人が先に買って後から組合へ移す進め方は取れません。

担保については、供託と譲渡担保の設定はできない一方、質権の設定と実行は制度上可能とされています。ただし実際に借入れの担保に使うなら、規約上の根拠、総会決議の要否、借入先が受け入れる条件を別に確認することになります。

商品そのものの基礎は既存記事(2026年1月時点)にまとめています。

修繕に使う時期で、どう選び分けるか

すでに買える新窓販国債と、これから対象になる個人向け国債は性格が違います。2026年9月募集分で並べます。

項目個人向け国債 変動10年(第198回)新窓販国債 10年(第383回)
表面利率/初回適用利率初回適用利率 1.95%表面利率 2.70%
満期保有の利回り将来の適用利率次第で変動応募者利回り 2.943%
募集価格額面100円につき100円額面100円につき98円16銭
購入単位1万円以上1万円単位額面5万円以上、額面5万円単位
制度上の購入上限上限なし1回の申込みあたり額面3億円
金利の決まり方半年ごとに見直し(基準金利×0.66)、下限0.05%発行時に固定、満期まで変わらない
満期前の資金化発行から1年経過後、額面を基準に国が買取市場で売却。時価次第で元本割れの可能性

※利率・応募者利回りはいずれも税引前の年率です。制度上の購入上限は、金融機関独自の受付制限とは別のものです。 ※新窓販国債では、募集価格とは別に初回利子の調整額(経過利子)を購入時に支払います。手数料ではなく、発行日から最初の利払日までが6か月未満なのに初回利払で6か月分の利子が出るための調整です(入札発行の銘柄に追加発行するため生じるずれ)。金額は募集月ごとに財務省が公表します。 ※この表は商品性を比べるための参考値で、12月募集分の条件ではありません。 条件は募集のたびに変わります。

表の1.95%と2.943%は、同じ意味の数字ではありません。表面利率は額面に対して支払われる利子の率、応募者利回りは購入価格と満期時の償還額も反映した満期保有前提の利回りです。額面は満期時の償還額の基準となる金額です。新窓販国債は募集価格が額面を下回るため、利率より利回りが高く出ています。

同じ9月募集分では、固定5年(第186回)が2.24%、固定3年(第196回)が1.96%、新窓販国債の2年(第488回)は1.70%でした。選択肢は二択ではなく、固定3年・固定5年も含め、資金を使う時期に合わせて考えるのが実際的です。1年経過後の中途換金は固定型でも共通です。

変動10年は、金利上昇が半年ごとの見直しで反映される一方、金利が下がれば適用利率も下がります(下限0.05%)。「上がるほうにだけ動く商品」ではない点は、総会の説明でも触れておきたいところです。新窓販国債は満期を支出時期に合わせられる組合と相性がよい商品です。

中途換金でいくら戻るのか

個人向け国債は「発行から1年経過後、額面を基準に国が買い取る」仕組みで、受取額は次の式です。

受取額=額面+経過利子相当額−中途換金調整額

中途換金調整額は直前2回分の各利子(税引前)×0.79685で、この係数は法人等でも同じとされています。三層に分けておくと、総会での説明がぶれません。

  • (a) 商品性:財務省は「元本割れはしない」と説明しています。ここでいう元本は額面です。
  • (b) 中途換金日に口座へ入る金額:経過利子相当額を加え、中途換金調整額を差し引くため、額面を下回る場合があります。受け取り済みの利子と合わせて確認します。
  • (c) 法人税等まで含めた最終損益:別論点です。管理組合は原則として収益事業から生じた所得のみが法人税の対象なので、Q&Aの一般法人向けの注意書きを、すべての管理組合に当てはめることはできません。

税金はどう引かれるか

法人格のない管理組合や管理組合法人が受け取る国債の利子は、通常15.315%(所得税・復興特別所得税)が源泉徴収されます。個人の場合の住民税5%分の源泉徴収はありません。

1,000万円を利率1.95%で1年分計算すると、税引前の利子は19万5,000円、(1−0.15315)を掛けて約16.5万円です。利率が変わらない前提の概算で、1年後に中途換金した場合の手取り額ではありません

なお、区分所有者以外への駐車場貸付などにより税務上の収益事業を行っている組合は、法人税の計算で利子や源泉税をどう扱うかを別途確認する必要があります。

購入前に理事会が進める5つの準備

以下の期間の目安は一例で、規約の内容・総会日程・金融機関の対応で変わります。

① 規約と過去の総会決議を確認する

まず管理規約と会計細則を読み直します。国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型・令和7年改正版)では、修繕積立金の保管および運用方法は総会の議決事項です(第48条第7号)。標準管理規約はモデルで、実際に効くのは各組合の規約です。

あわせて過去の総会議事録も見ます。商品・上限額・執行の権限まで承認済みなら、その範囲内で理事会が実行できる可能性があります。「規約に国債という語がないから即改正」と決めつける前に、何がどこまで決まっているかの棚卸しです。1〜2週間で進みます。

② 運用方針の案を理事会でまとめる

最初に決めておきたいのは手元に残す現預金の最低残高です。緊急修繕、工事費の増額、保険金が入金されるまでの立替えなど、すぐ動かせるお金が要る場面があります。これを差し引いた部分が運用候補額です。金額の考え方は組合ごとの設計事項で、全国一律の基準額はありません。

そのうえで、いくらを・何年・どの商品で持つかの案を作ります。欠かせないのが長期修繕計画上の支出時期との照合です。総額の支払時期だけでなく工事の着手金・中間金がいつ出ていくかまで見て、国債の満期日・換金可能日と並べてください。個人向け国債は発行から1年間は原則として中途換金できません。予定どおりなら2027年1月発行で、通常の中途換金は2028年1月以降です。

新窓販国債を組み合わせる場合は、募集月ごとに示される実際の償還期限を確認します。10年債でも購入日からちょうど10年後に満期になるとは限らず、追加発行の形をとるため残存期間は短くなります。2026年9月募集の第383回債の償還期限は2036年6月20日です。理事会1〜2回分を見ておくと現実的です。

③ 金融機関の受入条件を確認する

法人等への販売を扱うか、必要書類は何か、口座管理手数料はかかるか、独自の取扱制限はあるかを、取引のある金融機関に照会します。求められやすいのは管理規約、総会議事録、代表者(理事長)の本人確認書類などですが、確定情報は各社に確認するほかありません。①②と並行して動かせ、複数行に当たると選択肢が残ります。1か月程度は見ておきたい項目です。

④ 総会決議を取る

規約を変えずに運用方針を定めるなら普通決議(第47条第2項)、規約の制定・変更・廃止にあたるなら特別決議(第47条第3項)、というのが令和7年改正版・単棟型の標準管理規約を前提とした基本線です。どちらになるかは自組合の規約次第なので、①の結果とセットで判断します。

議案づくりでは、議案書と付随資料のほうに中身を書く構成が扱いやすくなります。対象商品、運用上限額、手元に残す現預金の最低額、運用期間、商品を選ぶ基準、購入・換金の権限者、総会や理事会への報告方法。議事録は、議案の可否と理事会等に委ねた執行範囲が読み取れる形にします。回号(第○回債)まで総会で固定すると、募集月が変わるだけで決議を取り直すことになりかねません。招集通知を含めて1〜2か月です。

⑤ 会計・残高確認・監査・引継ぎを設計する

買った後の運用まで決めておくと、後任が困りません。

  • 帳簿上、預金と国債を区分する方法。元本を修繕積立金会計と管理費会計のどちらに帰属させるか、利子や売却損益をどちらに計上するか
  • 銘柄・額面・取得価額・満期日・換金可能日の一覧の作成と更新
  • 利子・源泉徴収税額・中途換金調整額、および新窓販国債の初回利子調整額・満期償還差損益・中途売却損益の記帳方法(一律の仕訳を示せる論点ではないため、会計担当や税理士に確認を)
  • 金融機関の残高報告書と帳簿の照合を、いつ誰が行うか
  • 監事の確認方法:総会・理事会の決議、購入時の取引報告書、期末の残高報告書、会計帳簿を照合し、承認された商品・金額・残高・利子・税額と一致するかを確かめる手順
  • 購入・換金の指示権限、印鑑やパスワードの管理、代表者交代時の手続、複数人での確認(内部統制上の提案として)
  • 次期役員への引継ぎ資料に何を含めるか

これまで現預金だけを扱ってきた組合には、実務が最も変わる部分です。


規約に運用の根拠があると読めるのか、過去の決議でどこまで済んでいるのか、満期を計画のどこに合わせるか。これらは規約と計画の書きぶり次第で答えが変わります。自組合の資料を見てもらいながら整理したい場合は、専門家を探すから、資産運用や会計に対応しているマンション管理士を探せます。

よくある質問

Q. 1年以内に換金できますか? 原則できません。例外として組合の解散時や、災害救助法が適用される災害の被害を受けた場合が挙げられています。1年以内に使う可能性のある資金は、運用に回さない前提で考えるほうが無理がありません。なお満期前に譲渡することもできません。

Q. 買うために管理組合法人になる必要はありますか? 制度上の要件ではありません。ただし法人格のない団体を扱うかは金融機関ごとに異なるので、③で確認してください。

Q. 12月の募集に申し込めなかったらどうなりますか? 毎月募集があるため翌月以降に申し込めます。金融機関の対応状況を確認し、規約・資金繰り・総会手続きを整えてから申し込むほうが、やり直しや資金不足のリスクを減らせます。

まとめ

令和8年12月募集分(令和9年1月発行分)から、個人向け国債は「個人向け国債プラス」となり、管理組合など一定の法人・団体へ販売対象が広がる予定です。法人格のない管理組合が対象に含まれることは意見募集の結果で示されており、予定の段階なのは主に販売開始の時期と各金融機関の対応です。

理事会がいま進められるのは、規約と過去の総会決議の確認、長期修繕計画と資金繰りの整理、金融機関の受入条件の照会です。これらを並行して進め、結果を踏まえて総会議案と、会計・監査・引継ぎの方法を具体化していきます。

利率も募集価格も毎月変わります。今は規約と金融機関の受入条件を確認しておき、申込みの前にその月の募集条件を改めて確認してください。

出典

  • 財務省「個人向け国債の法人等への販売対象拡大について」(特設ページ、Q&A、意見募集の結果〔2026年8月5日公表〕)
  • 財務省「個人向け国債 変動10年(第198回)/固定5年(第186回)/固定3年(第196回)」各発行条件
  • 財務省「新窓販国債 10年 令和8年9月債(第383回)/2年 令和8年9月債(第488回)」各発行条件
  • 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」令和7年改正版
  • 国税庁「利子等に対する源泉徴収」
  • 国税庁「管理組合の収益事業課税に関する照会回答」

制度・商品条件の確認日:2026年9月7日

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