管理計画認定の基準が見直されると、何が変わるのか──規約と計画で管理組合がいま確かめること
管理計画認定の基準が見直され、理事長などの管理者等と監事の任期や防災の方針など、規約や書類で点検する項目が増えます。どの申請がどちらの基準で見られるのか、手元の規約と計画のどこを確かめ、総会に向けて何から始めるかを案内します。

国土交通省が、管理計画認定制度(マンションの管理が一定の基準を満たしていることを、地方公共団体が認定する制度)の基準を見直す省令と告示を公布し、新しい基準が使われ始める日が決まりました。
認定の更新が近い組合や、これから申請を考えている組合では、規約や長期修繕計画のどこを確かめればよいのかが気になるところです。
管理組合の相談コンシェルジュ、コネルです。
この記事で持ち帰ってほしいことは三つです。
- 管理組合の側から申請するときの基準が見直され、理事長などの管理者等と監事の任期や防災の方針など、規約や書類で点検する項目が増え、不足があれば改正や作成が要ること
- 施行日前の処分が出ていない申請は見直し前、施行日以後の認定の更新の申請は見直し後、見直し前の基準による認定の変更認定の申請は施行日以後も見直し前の基準で見られること
- 規約の改正も認定の申請も総会で決めることなので、申請や更新の予定から逆算して総会の準備を始めること
何が変わるか、手元の規約と計画のどこを見るか、いま何から始めるかの順に書きます。
何が変わるのですか
管理組合の側から申請する場合の基準が見直され、あわせて、分譲事業者が分譲のときに申請できる仕組みが新しくできます。見直し後の基準は令和9年4月1日に施行され、原則として同日以後に地方公共団体へ申請するものに使われます。ただし、見直し前の基準で認定を受けたマンションの変更認定には経過措置があります。管理組合の側から申請するとき、法令上の申請者は管理組合の管理者等(多くの組合では理事長)で、申請すること自体は総会で決めます。
下の表は一つの公式な分類ではなく、国の資料の区分をもとにコネルがまとめたものです。「位置づけ」は、今回新しく加わるもの(新設)、これまでの基準が変わるもの(変更)、これまでどおりのもの(継続)の区別です。
| 分野 | 主な基準 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 管理組合の運営 | 管理者等と監事が管理規約に基づいて選任されていること | 変更 |
| 管理組合の運営 | いまの管理者等と監事について、選任された日から申請日までの期間が、規約で定める任期を超えていないこと | 新設 |
| 管理組合の運営 | 区分所有者名簿と居住者名簿を作成・保管し、年1回以上更新していること | 変更 |
| 管理規約 | 管理者等と監事の選任と解任の定めがあり、それを難しくする定めがないこと。任期は2年以内 | 新設 |
| 管理規約 | 利益相反取引、総会の招集の請求、総会で決める事項が標準管理規約に沿っていること | 新設 |
| 長期修繕計画と修繕積立金 | 作成または見直しが申請日前5年以内(これまでは7年以内)。認定の更新では、前回の認定日から更新申請日までの間に作成または見直しをしていること | 変更 |
| 長期修繕計画と修繕積立金 | 計画期間全体の修繕積立金の総額が、計画期間内に見込まれる修繕工事費の総額を下回らないこと | 新設 |
| 長期修繕計画と修繕積立金 | 月当たりの修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと(修繕積立金ガイドラインが示す水準以上) | 継続 |
| 防災 | 防災の方針を書いた書類を作り、その内容を区分所有者などに周知していること | 新設 |
| 分譲時の申請 | 分譲事業者が、規約の案、長期修繕計画の案、管理組合への引継ぎの方法などを示して申請できる | 新しい仕組み |
経理の基準(管理費と修繕積立金を分けて経理する、修繕積立金をほかの会計に回さない、滞納が一定の範囲にとどまるなど)は、これまでどおりです。
規約の分野では、点検する項目が増えます。
まず、管理者等と監事(業務や会計を監査する役員)の選び方と辞めさせ方を定め、それを難しくする定めを置かず、任期を2年以内にすることが求められます。理事会を置く組合では、管理者の選任と解任を理事会、監事の選任と解任を総会で決める旨を規約に定めます。理事会を置かない組合では、どちらも総会で決める旨を定めます。
次に、管理者等や監事と管理組合の利益がぶつかる取引(利益相反取引)を防ぐ定めが、標準管理規約(国土交通省が示す規約のひな型)に沿っていることが求められます。理事会を置く組合では、規約に基づいて選ばれた役員との取引も対象です。
さらに、区分所有者が総会を開くよう求める手続きが標準管理規約に沿い、請求する側の負担を重くする定めがないこと、標準管理規約が挙げる総会の決議事項が全て、規約でも総会の決議事項になっていることが求められます。
防災では、防災訓練の実施方針、防災情報とその周知の方法、防災物資などの備蓄方針、災害などの緊急時の活動体制の四つを書いた書類を作り、その内容を周知することが求められます。
いまの規約と計画は、どうなっていますか
手元の管理規約、長期修繕計画、名簿、総会の議事録を出して、見直し後の基準に照らします。理事会を置く組合では、管理者を選任した理事会の議事録も用意します。すでに基準を満たしている項目は改正の必要はありません。足りない項目を、早めにつかむための点検です。
規約では、管理者等と監事の選任と解任の定め、任期が2年以内になっているかを見ます。理事会を置く組合では、管理者の選任は理事会の議事録、監事の選任は総会の議事録で確かめます。理事会を置かない組合では、どちらも総会の議事録で確かめます。あわせて、それぞれの選任日から申請の予定日までの期間が、規約の任期を超えていないかを見ます。利益相反取引、総会の招集の請求、総会で決める事項が標準管理規約に沿っているかも、規約で見ます。
長期修繕計画は、直近の作成または見直しが、申請の予定日の前5年以内に収まっているかを確かめます。これまでの7年という感覚のままだと、申請のときに期間を過ぎていることがあります。認定の更新のときは、前回の認定日から更新申請日までの間に作成または見直しをしているかを見ます。あわせて、計画に資金計画(必要な資金の総額、内訳、調達の方法)が書かれて総会で決議されているか、計画期間全体の積立金の総額が、計画期間内に見込まれる工事費の総額を下回っていないかも見ます。
名簿は、作成して保管し、年1回以上更新しているかを確かめます。防災は、消防計画や防災マニュアルがある場合も、四つの項目がそろっているか、周知されているかを見ます。足りなければ追記するか、別の書類を作るかを検討します。
どちらの基準で見られるかは、地方公共団体への申請日だけでなく、申請の種類と、変更認定の場合はいまの認定が見直し前と後のどちらの基準によるものかで変わります。
| 申請の日と種類 | 見られる基準 |
|---|---|
| 施行日前に申請し、施行日にまだ処分が出ていない | 見直し前の基準 |
| 施行日以後の、認定の更新の申請 | 見直し後の基準 |
| 見直し前の基準で認定を受けたマンションの、変更認定の申請 | 施行日以後も見直し前の基準 |
いま認定を受けているマンションも、施行日以後に更新するときは、見直し後の基準に合わせる必要があります。
では、いま何をすればよいのか
申請や更新の予定から逆算して、点検と総会の準備の順番を決めます。認定を申請すること、規約を変えること、長期修繕計画の内容と資金計画を承認することは、いずれも総会で決めることです。理事会を置く組合では、理事会が総会に出す議案と資料を用意します。
まず、認定を申請する予定、または更新の時期がいつかを確かめます。施行日の前か後か、新しい認定の申請か更新か変更かを確かめます。変更認定の場合は、いまの認定が見直し前と後のどちらの基準によるものかも確かめます。
次に、サイト内の無料ツール 管理状況のセルフチェック に申請の予定日を入れると、見直し前と見直し後の基準を切り替えて、手元の書類と照らせます。変更認定については、申請日だけでなく、いまの認定が見直し前と後のどちらの基準によるものかを、上の表で確かめます。
そのうえで、規約で足りない項目を洗い出し、どの総会に議案を出すかを決めます。規約の変更は総会の特別決議が要る事項です。決議の要件と総会の招集の手続きは、区分所有法と自分たちの規約の両方で確かめます。長期修繕計画の見直しが期間を超えそうなときは、見直しの依頼から総会での承認までの日程も組みます。防災の書類は、理事会で原案をまとめるのが一つの進め方です。承認の手続きは、規約や申請先の扱いを確かめます。
規約の条文をどう直すか、計画の見直しをどう進めるかは、組合の側に立つ専門家に相談すると判断しやすくなります。専門家を探すから、エリアや得意分野で相談先を見比べられます。
このチェックは国の基準の主な項目をまとめたものです。申請先の地方公共団体が独自の基準を定めていないかも確かめます。
よくある質問
いま認定を受けているマンションはどうなりますか
施行日以後に認定の更新を申請するときは、見直し後の基準で見られます。見直し前の基準で認定を受けたマンションが変更認定を申請するときは、施行日以後も見直し前の基準です。
新築マンションを買った場合はどうなりますか
令和9年4月1日から、分譲事業者が規約の案、長期修繕計画の案、管理組合への引継ぎの方法などを示して申請できるようになります。分譲事業者の長期修繕計画の案では、計画期間全体における1月当たりの修繕積立金の徴収額の平均を「基準額」とし、計画期間中の1月当たりの徴収額の最低額が基準額の0.6倍以上、最高額が1.1倍以内であることも求められます。管理組合ができた後は、設立総会などで、管理者等の選任などと、変更認定の申請に同意する旨を決議します。その後、分譲事業者が変更認定を申請し、認定された管理計画を管理組合の管理者等に引き継ぎます。住戸の引渡しの日のうち最も早い日から1年6か月以内に管理者等が選ばれないと、認定が取り消されることがあります。認定を受けているかは、分譲のときの資料や販売する事業者に確かめます。
規約はすべて標準管理規約と同じにしないといけませんか
すべての条文を同じにする必要はありません。標準管理規約に沿っていることが求められているのは、利益相反取引、総会の招集の請求、総会で決める事項などの項目です。そのほかの項目は、それぞれの基準の言葉に照らして確かめます。
まとめ
- 管理組合の側から申請するときの基準が見直され、理事長などの管理者等と監事の任期や防災の方針など、規約や書類で点検する項目が増え、不足があれば改正や作成が要ること
- 施行日前の処分が出ていない申請は見直し前、施行日以後の認定の更新の申請は見直し後、見直し前の基準による認定の変更認定の申請は施行日以後も見直し前の基準で見られること
- 規約の改正も認定の申請も総会で決めることなので、申請や更新の予定から逆算して総会の準備を始めること
手元の規約と計画を見直し後の基準に照らし、総会に出す議案の順番を決めて、確認して、しっかり取り組むことが大切です。
出典
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」/見直しの概要、改正省令(令和8年国土交通省令第70号)と改正告示(令和8年国土交通省告示第1017号)、施行日
- マンション管理計画認定制度の概要(R9.4.1〜)(PDF)/修繕積立金ガイドラインが示す水準、更新時の長期修繕計画の扱い
- 申請手続き(R9.4.1〜)(PDF)/総会での決議、分譲後の変更認定の流れ、管理者等が選任されない場合の取消し
- 管理組合の管理者等が申請者となる場合の認定基準(R9.4.1〜)(PDF)
- 分譲事業者が申請者となる場合の認定基準(R9.4.1〜)(PDF)
- 改正省令附則による経過措置(PDF)
制度・条件の確認日:2026-09-25
管理規約の見直し
この記事の内容を、自分のマンションの規約に落とし込むには
記事で扱ったルールは、管理規約に書かれていて初めて総会で使えます。改正区分所有法(2026年4月1日施行)に合わせて、現行規約のどこを直すかを洗い出すところから始めます。
管理規約スタジオは、現行規約を取り込むと標準管理規約・改正法との差分を条文単位で洗い出し、新旧対照表と改正案を出力する実務者向けツールです(運営会社のサービス)。
管理規約スタジオを見るコネル
管理組合の相談コンシェルジュ
管理組合を中心に、情報・ツール・専門家をつなぐ、管理コネクトの案内役です。 制度や実務をかみくだいて整理し、判断はみなさまと専門家に委ねます。 口ぐせは「いっしょに、よい答えを見つけよう」。


